仮想通貨の社会実装の難しさと現状をGinco森川氏と語る「第二回Aerialミートアップ」イベントレポート【後編】

仮想通貨の社会実装の難しさと現状をGinco森川氏と語る「第二回Aerialミートアップ」イベントレポート【後編】

Aerial Partnersが定期開催している第二回Aerialミートアップを、2018年8月26日に開催しました。今回は、仮想通貨ウォレット「Ginco(ギンコ)」を提供する株式会社Ginco代表取締役である森川夢佑斗氏にご登壇いただき、Aerial Partners代表沼澤健人と、仮想通貨の社会実装についてトークセッションを行いました。

後編では、森川氏が仮想通貨業界の1プレイヤーとしてみる日本の業界について話します。

沼澤

これは特にお聞きしたいことなのですが、プレイヤーとして、日本の業界にどのような印象をお持ちですか?

社会実装に向け、グローバルと接点を持ちつつ日本でウォレット・サービスを展開している

森川氏

日本では、投資・投機対象として仮想通貨に注目が集まっているわけですが、ウォレット・サービスとなると、仮想通貨が使われる、つまり日常に流通してこそ、利便性を発揮するものです。現状では、まだそこにギャップがありますね。ただ、流通してからでは遅いので、「安全に仮想通貨を管理できるのがウォレットである」という啓蒙をどう行なっていくかが私たちプレイヤーの今後の課題だと感じています。あと、ウォレットに限らず、日本のブロックチェーン・プレイヤーの少なさを実感しています。海外のプレイヤーと交流する機会も少なくないのですが、日本を1とするなら向こうは10。そのぐらいの差がありますね。業界全体としての大きな課題だと思っています。

 

仮想通貨の社会実装の難しさと現状をGinco森川氏と語る「第二回Aerialミートアップ」イベントレポート【後編】

沼澤

それは私も実感しています。今年の5月にNYで開催されたブロックチェーンのイベント「Consensus2018」に行ってきたのですが、海外の人から見た日本人の印象を聞いて少し残念に感じました。やはり日本人は投資・投機なんですよね。それ自体は悪いことではなく、残念でもないのですが、デベロッパーという印象は皆無。また、イベントで登壇したのもビットフライヤーの加納さんただ一人でした。テクノロジー関連で日本はほぼ注目を集めていないんです。一方、中国や韓国からの参加者が多かったのですが、あちらはすでにエコシステムが出来上がっているという。なんで、こんな現状になっているのかというのが正直な気持ちでした。

でも、考えてみれば、やはり大きいのは制度や規制の問題ですよね。コインチェックの事例から、交換業に関しては完全に金融機関の内部統制になった。これから、スタートアップがビジネスをスケールさせていくのはどんどん難しくなっていくと思いますし、そうであれば優秀なTech系の人材もブロックチェーンに目を向けづらくなりますよね。あと、ICOについても規制がありますし。

 

森川氏

そうですね。レガシーが制度や規制を行うと、まず海外のスピードにはついていけなくなる。大きな問題だと思います。あと、Tech系の人たちがブロックチェーン・ビジネスに参入しがたいということについては、「サービスモデルの難しさ」もあるかな、と。最近だとよく“総合格闘技だ”なんて言われるじゃないですか?ブロックチェーン・ビジネスって、スキームがとても複雑だったり、リーガルにも触れる。だから、テクノロジーを持っていても敬遠しがちなのかもしれません。

 

沼澤

最後に、このような状況のなか、Gincoさんがウォレット・サービスを国内で展開させている理由を教えてください。

 

森川氏

先ほどの沼澤さんのお話に関連しますが、日本って良くも悪くも参入障壁がない。そこにビジネスチャンスがあったということと、あと、やはり大きいのは社会実装が進んでいないということですよね。そこへの寄与がミッションですから、やりがいを感じています。ただ、国内展開にこだわっているということではないんですよ。当社はモンゴルでマイニング事業もやっていまして、絶えずグローバルの交流もあります。先端のブロックチェーンやそのまわりのテクノロジーに触れられる環境にあるので、それらの輸入などもできるのではと考えていますね。

 

沼澤

Gincoさんは先日、マイニングマシン世界最大手のビットメインから正規のリペアライセンスを取得されたんですよね。マイニングというとほぼほぼ中国の寡占ですが・・・、そこに対する感想はありますか?

 

森川氏

ブロックチェーンが非中央集権をつくる仕組みなのに、その合意形成アルゴリズム「PoW」のマイニングで事実上の一極集中ができてしまっている。それは問題だなと思います。そういった環境を少しでも変えていきたいとも考えています。

 

沼澤

本日は、ありがとうございました。

 

 

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