イールドファーミングとは?仕組みと可能性・リスクまで徹底解説

イールドファーミングとは?

イールドファーミングとは、分散型取引所(DEX)に仮想通貨(暗号資産)を預けて利回りを得る、DeFiを活用した資産運用方法のひとつです。

DeFiとは、「分散型金融」と呼ばれる中央集権者のいない金融システムを指します。
通常の仮想通貨取引所では中央集権者となる管理者が存在し、仮想通貨の調達や流動性の調整を行っています。

そのため、ユーザーは取引所によって管理・調整された枠組みの中で取引することになります。

しかし、DeFiを用いた取引所では中央集権者が存在しないため、ユーザー同士で流動性を保たなくてはなりません。
そこで、「仮想通貨を提供して流動性の確保に協力してくれた人に報酬を与える」というのが、イールドファーミングです。

DeFiについてくわしく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

▶DeFiってどんなもの?仕組みやメリット・デメリットを解説

イールドファーミングの始め方

「DeFi」や「DEX」という言葉を聞くと、「自分には難しそう」と感じるかもしれません。
しかし、イールドファーミングは次の4つの簡単なステップで始められます。

  1. 仮想通貨を購入する
  2. ウォレットを用意する
  3. ウォレットとDEXを接続する
  4. 仮想通貨をプールする

それぞれ手順を確認していきましょう。

仮想通貨を購入する

イールドファーミングでは、まずDEXに提供する仮想通貨を準備する必要があります。
どの銘柄を提供するかで利回りが異なりますので、まずは利用するDEXでどのような通貨ペアを取り扱っているか確認してみましょう。

購入する仮想通貨が決まったら、必要な数量を取引所で購入します。
このときは、国内の取引所を利用して調達しても構いません。
手数料の安い取引所や、取扱銘柄が多い取引所など自分の使いやすいところを探してみましょう。

ウォレットを用意する

仮想通貨を調達したら、次にウォレットを用意します。
ウォレットとは、仮想通貨を保管するための場所です。

ウォレットにはデスクトップ型のものやアプリ型のものなど多くの種類がありますが、イールドファーミングを行う場合は利用するDEXに対応しているものを選ぶ必要があります。
利用するDEXが決まっている場合は、どのウォレットに対応しているか事前に確認しておくことがおすすめです。

ウォレットを用意したら、調達した仮想通貨をウォレットへ移動させましょう。

ウォレットとDEXを接続する

移動した仮想通貨がウォレットに反映されたら、ウォレットとDEXを連携させます。

手続き方法はDEXによって異なりますが、基本的に「ウォレットに接続」といった文言が表示されていることが一般的です。
タップすると対応ウォレットが表示されますので、接続したいウォレットを選択しましょう。

現在では「メタマスク(MetaMask)」や「トラストウォレット」が対応しているDEXと銘柄が多いために人気となっています。

仮想通貨をプールする

ウォレットが接続されたら、いよいよイールドファーミングのスタートです。

ウォレットの中から提供したい仮想通貨を選び、DEXへプールしましょう。
なお、プールした仮想通貨は取り出さない限りは使用できないため、当分は動かすことのない銘柄で行うのがおすすめです。

イールドファーミングのリスク

高い利回りを狙えるイールドファーミングですが、取り組む際は次の3点に注意が必要です。

  • 価格変動による損失
  • DeFiシステムの脆弱性
  • 詐欺プラットフォームもある

ひとつずつ確認していきましょう。

価格変動による損失

イールドファーミングに取り組む際は、価格変動によるリスクを理解しておかなければなりません。

イールドファーミングでは仮想通貨の提供により利回りを得られますが、それ以上の価格変動が起きると、プールから出金したときに損失を被るリスクがあります。

特に、仮想通貨は価格の変動幅が大きい金融商品ですので、その動向には十分注視しておきましょう。

DeFiシステムの脆弱性

DeFiでは、システムの穴をついてハッキングを受けてしまうリスクがあります。
本記事の作成時点では、直近でも2023年7月31日に大手分散型取引所の「Curve Finance」でもハッキングが起こり、日本円で推定58億円の資金流出があったとされています。

DeFiはまだ新しい金融システムであることから、ユーザーを守る法整備が追いついていません。
もしハッキングによって資産を失っても、その資産が返ってくる可能性は低いでしょう。

ハッキングによる資産消失を未然に防ぐことはほぼ不可能ですので、基本的には余剰資金で行うようにしましょう。

詐欺プラットフォームもある

DEXの中には、残念ながら詐欺を目的としたプラットフォームも存在します。
このような詐欺プラットフォームを利用すると、「仮想通貨をプールしたと思ったら、ウォレットの中身を吸い取られてしまった」ということにもなりかねません。

前述の通り、DeFi関連のトラブルについては全て自己責任となります。
もし詐欺プラットフォームを利用しても、ハッキング同様に資産を取り返すことは難しいでしょう。

「明らかに高すぎる利回りのイールドファーミングは疑う」など、美味しい話につられないように注意してください。

イールドファーミングとレンディングの違い

「資産を預けて利回りを得る」と聞くと、レンディングを思い浮かべる人もいるでしょう。
レンディングとは、保有している仮想通貨を貸し出すことで利回りを得る取引です。

レンディングで仮想通貨を貸し出す相手方には、「中央集権者のいる取引所」と「ユーザー」の2種類があります。
従来は、取引所に仮想通貨を貸し出して利回りを得ることが一般的でしたが、DeFiの仕組みができてからはユーザー同士が直接貸し借りを行うこと(DeFiレンディング)も可能となりました。

つまり、レンディングとは単純に「仮想通貨の貸し借りを行うこと」と考えると分かりやすいでしょう。

一方、イールドファーミングはDEXに流動性を提供するためのものです。
イールドファーミングでプールする際の相手は個人ではなく、DeFiを活用したプラットフォームで、DEXやレンディングプラットフォームが活性化することを目的としています。

イールドファーミングで発生する税金について

イールドファーミングを始める際は、税金についてもよく理解しておく必要があります。

イールドファーミングでは、流動性を提供することで報酬を受け取ることができます。
通常は報酬が発生した時点で利益とみなされますが、イールドファーミングはDEXに提供している仮想通貨の残高が常に変化するため、報酬の受取時点で損益を計算することはできません。

そのため、最終的な損益を判断するのはプールから仮想通貨を引き出したときと考えられています。
このときにプールしたときよりも仮想通貨が増えていれば、仮想通貨取引で利益を得たとして雑所得の対象となります。

しかし、ここで気を付けたいのが、DeFiでの取引は一般の取引所のように取引明細が存在しないということです。
取引で得た損益を算出するためには、トランザクションデータなどを見ながら自分で取引を記録しておく必要があります。

もし関連税制への理解がなければ、このステップは手間に感じてしまうかもしれません。

まとめ

イールドファーミングは、DeFiを活用した稼ぎ方として多くの投資家の注目を集めています。
しかし、まだ新しい取引方法であることから、リスクについては十分理解しておく必要があります。

また、イールドファーミングで利益を得たら、金額によっては確定申告を行わなければなりません。
DeFiの取引による確定申告には、損益計算サービス「Gtax」が便利です。

Gtaxでは「DeFiデータ登録機能」がありますので、この機能を活用すればDEXでの取引もきちんと記録しておくことができます。

イールドファーミングに取り組む際は、ぜひこうした損益計算サービスを活用することを検討しましょう。