税金には、非常に様々な種類があります。多くの人々が節税を意識しつつも、税金は生活を行う上で必ず支払う必要性があるものです。税金の支払先には、国や地方自治体があり、国・地方自治体の運営も税金によって支えられています。また、近年では、地方自治体に対する税収は減少しつつあり、各自治体の税収の差は埋められないほど拡大している状況です。
理由として、地方自治体の運営資金となる税金は、各地に暮らす人々によって支えられています。しかし、元々の人口の偏りに加え、仕事の選択肢がないなどの理由で大都市に人々が集中するという形が日本では長年続いています。そして、税収の格差を埋める対策として、ふるさと納税制度が設立されました。ふるさと納税と節税は、よく結びつけて考えられ、ふるさと納税を節税だと認識されている方も多いでしょう。
もっともふるさと納税制度では、高価な返礼品が問題となっており、総務省は抜本的な見直しに踏み切る方針を示しています。方針の内容は、今後は家電や商品券などの還元率の高い製品を返礼品としないこと、返礼品の全てを3割以内に抑えるというものです。
(2019年12月追記)法改正により、返礼品を送付する地方団体は、1,返礼品の返礼割合を3割以内に抑えること、2,返礼品を地元の産品とすることとなりました。
では、総務省の返礼品の方針にふれたうえで、節税対策と思われがちなふるさと納税とはそもそも何なのかを解説していきます。
目次
ふるさと納税とは
ふるさと納税は、任意の地方自治体に対して寄付を行うことができる制度です。任意で寄付を行える為、特定の地方自治体や自分の出身地などに拘る必要がありません。そして、ふるさと納税は、寄付を行った団体から返礼品を受け取ることが出来ることに加え、税金の控除を受けられると言うものです。
ふるさと納税が作られたきっかけは、地方自治体の税収の格差にあります。その為に、任意に寄付が行えるふるさと納税を利用して地方自治体の収入格差をなくすという制度ができあがりました。
また、ふるさと納税はよく節税と同様の扱いをされることがあります。しかし、実際には節税と呼べるものではありません。あくまでも、ふるさと納税で行えるのは、控除であることを忘れないようにしましょう。
ふるさと納税は節税にならない?
ふるさと納税は、結論から言えば、節税にはなりません。あくまで2000円の自己負担を超えた寄付金額を所得税や住民性から控除するというものです。
また、控除は翌年度に行われるものであり、ふるさと納税の開始段階では、この事例であれば、10万円で返礼品を購入することと変わりません。
つまり、ふるさと納税は税金の支払先が変わる制度であり、節税にはなりません。
なぜふるさと納税がお得なのか?
節税ではないのであれば、なぜふるさと納税はお得と言われるのでしょうか。それはふるさと納税の寄付額に対して様々な返礼品を自分で選択できることにあります。
上述の通り、実際に支払う金額はほとんど変わらないので節税にはならないのですが、ふるさと納税の場合はほとんど同じ額を払って返礼品ももらう事ができるので、結果としてお得といえます。
また、ふるさと納税サイトなどではクレジットカード決済もできますから、支払うたびにポイントが貯まるようなクレジットカードをご利用の方は、ふるさと納税分の支払いにポイントがつくためさらにお得と言えるでしょう。
自分が住んでいる地方自治体に限るなどの制限はなく、任意の地方自治体に寄付を行うことが出来るのも特徴です。更に、寄付を行える自治体は1ヶ所だけでなく、複数個所を選択肢、それぞれの地方自治体から返礼品を受け取ることができます。各地方、様々な返礼品をもらう事ができます。
ちなみに、ふるさと納税を行うタイミングは特に指定はありません。しかし、1月1日~12月31日までに支払いを行った額が控除額となる点は注意が必要です。そのうえで、任意のタイミングで任意の地方自治体を指定し、返礼品を受け取ることができる手軽さは大きなメリットと言えるでしょう。
加えて、寄付した金額の使用用途に関して各自治体では、どのように使用するのかを明確に示しています。その為、ふるさと納税制度では寄付を行ったうえで、使用方法と返礼品の指定を行うことが可能です。
上限額の計算方法
ふるさと納税を利用する場合、年収帯によって個人の上限額は異なってきます。簡潔に言えば、年収が高ければ高いほど、ふるさと納税での控除の上限額は高いと言えるでしょう。もっともどれだけ年収が高くても、控除の上限額が決定されていることから必ず税金が課されることになります。
また、ふるさと納税の控除額の上限は、寄付を行った方の家族構成によっても多少の違いがあります。年収とともに自分の家族構成を考慮したうえでふるさと納税の上限額を計算する必要があります。上限額の計算についてはふるさと納税サイトの上限額シミュレーションなどを活用すると便利です。
仮想通貨の所得がある場合
仮想通貨の所得は確定申告が必要ですから、ふるさと納税で嫌悪されがちな手間もそこまで追加でかかる事はないので、相性がいいと言えるかもしれません。
仮想通貨による所得は別途ご自身で計算し、上記のシミュレーションで計算する必要があります。Aerial Partnersが提供しているGtaxでは、無料で仮想通貨の損益を計算する事が可能ですので、ふるさと納税にもお役立てください。
ふるさと納税の申し込み方法と期限
ふるさと納税は、1月1日〜12月31日までの1年間に行ったふるさと納税分が、当年度の所得税の還付、および、翌年度の住民税の控除につながります。
そのため、12月31日までに申し込み手続きを行うようにしましょう。
さらに、還元率の高い人気の返礼品は品切れになることもあり、早めに動くのが吉です。
ここでは、ふるさと納税の申し込み方法について見ていきます。
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1.寄付を行いたい自治体の選定
これは、個人の趣味や趣向、思い入れなどを基準に自由に選びましょう。地域やランキング、返礼品など様々な選定方法を活用してみてください。
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2.寄付を行いたい自治体に申請手続き
ほとんどの場合、インターネットを活用し申し込むことが可能である為難しい手順はありません。
12月31日に手続きを行ってから支払い、とすると決済が完了したのが翌年度になれば次年度分からの控除となってしまいます。
余裕をもって手続きを行うようにしましょう。 -
3.指定された方法で寄付金の支払い
寄付金の支払い方法については、自治体から明示された書類などが届きます。
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4.返礼品とともに寄付金受領証明書やワンストップ特例制度に関する書類が送付されてきたあとに、確定申告
確定申告の際には、給与所得者であれば、年末調整後の源泉徴収票とふるさと納税を行った際の寄附金受領証明書が必要となります。
・確定申告期:2022年2月16日(水)~3月15日(火)
・ワンストップ特例の申請期限:2022年1月10日 -
5.ふるさと納税に関する控除が行われ、翌年の住民税・所得税が減額される
税理士に依頼する場合には寄附金受領証明書は税務署にもっていかなくても、どこにどの程度の金額を支払ったのか分かっていれば問題ありません。しかし、自分で確定申告を行う際には必ず必要です。
また、確定申告の必要性がなくなるワンストップ特例と言う制度もあります。ワンストップ特例は、寄付を行った後などで寄付金税額控除に関わる申告特例申請書を、それぞれの地方自治体に送付し、ふるさと納税にまつわる確定申告の手間を省くものです。
まとめ
ふるさと納税は、大都市への人口集中などで地方自治体の税収の格差が拡大したことから生まれた制度です。
・ふるさと納税制度を利用した場合、地方自治体からの返礼品を受け取ることに加え、2000円の自己負担額以上の金額は住民税・所得税から控除されることがメリットと言えます。
・返礼品に関しては、今後、総務省の方針に従って3割程度に抑えられ、家電などの高価な返礼品は無くなっていくでしょう。控除される金額についても年収によって上限があり、寄付金という形での料金の先払いであることから、厳密には節税対策とは言い難いものと言えます.
・ふるさと納税を行った際には、確定申告の必要性が発生する場合もある為、寄付を行う前に自分がどの要件に当てはまるのかをよく確認しておく必要があります。
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