年末調整と確定申告の違いとは?会社員で仮想通貨の所得がある場合はどうするか

仮想通貨への投資を始めたことがきっかけで、初めて確定申告をしなければならなくなった方も多いのではないでしょうか。しかし、確定申告というのは会社員の方にとってはあまりピンと来ないものです。なぜなら、会社員や公務員の方は、給与から税金が源泉徴収されているため、これに年末調整をすることで、確定申告は不要だからです。しかし前述の通り、仮想通貨の所得が20万円以上ある場合は確定申告が必要になります。確定申告と年末調整の違い、確定申告が必要となるケースとはどのようなものなのでしょうか。

平成30年の一般的な給与所得者(1年間に支払うべきことが確定した給与の支払総額が2000万円以下の場合)を想定して、確定申告と年末調整の違いを見ていきたいと思います。
 

年末調整について

給与や賞与は支払いの際に所得税が源泉徴収として天引きされます。

しかし、この源泉徴収の年間合計額は、結婚などで控除対象扶養親族の数が変化した場合や、生命保険料控除や配偶者特別控除などの控除を加味せずに算出されるため、本来収めるべき1年間の給与総額に対する所得税額とは一致しません

そこで、「1年間に源泉徴収をした所得税等の合計額」と「1年間に納めるべき所得税等の合計額」を一致させる必要があり、その年の最後の給与を受け取る時に、過不足額の清算をして、不足額があれば最後の給与の支払額から徴収し、徴収しすぎている場合はの差額の税額を還付する手続きを「年末調整」といいます。

12月に行う年末調整の対象となる人となるのは、会社などに1年を通じて勤務している人や年の途中で就職し年末まで勤務している人(青色事業専従者も含む)です。年末調整は、その年最後に給与を支払うときまでに、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している一定の人について行います。

年末調整の計算方法

年末調整の計算は以下の順で行われています。

  1. その年の1月1日から12月31日までの間に支払うことが確定した給与の合計額から、給与所得控除後の給与の額を求めます。「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で求めます。
  2. ①の給与の額から所得控除を差し引きます
    (生命保険料控除、扶養控除、基礎控除など)
  3. ②の金額(1,000円未満切捨て)に、所得税の税率を当てはめて税額を求めます
  4. 年末調整で住宅借入金等特別控除を行う場合には、この控除額を税額から差し引きます。なお、住宅借入金等特別控除の適用を受ける初年度は必ず確定申告手続きが必要となります。
  5. 控除額を差し引いた税額に102.1%をかけた税額(100円未満切捨て)が、その人が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税になります。
  6. 源泉徴収をした税額が1年間に納めるべき税額より多い場合には、その差額の税額を還付します。逆に、納めるべき税額より少ない場合には、その差額の税額を徴収します。

 

確定申告について

その年の1月1日から12月31日までの1年間に得た所得金額と所得税額を計算し、納付額がある場合(支払うべき税額がある場合)には、その翌年の2月中旬から3月15日までの間に、また源泉徴収税額や予定納税額の還付を受ける場合には、その翌年の1月1日から3月15日までの申告期間内に申告書に記載して、税務署に提出します。これを所得税の「確定申告」といいます。確定申告をすることによって、個人と国との間に租税の債権債務の関係が生じます。

確定申告が必要な人

給与所得者の大部分の人は、年末調整によって1年間の所得税の納税は完了します。しかし、次のような人は、確定申告をする必要があります。

  1. 給与収入が年間2000万円を超える人
  2. 給与所得や退職所得以外の所得金額(仮想通貨による所得を含む)の合計額が20万円を超えている人
  3. 給与を2か所以上からもらっている人
  4. 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を受ける人(初年度のみ確定申告が必要)
  5. 雑損控除、医療費控除、寄付控除の適用を受ける人
    (ただし、ワンストップ特別制度により、ふるさと納税の場合で寄付先が5自治体以内であれば確定申告は不要)
  6. 配当控除の適用を受ける人
  7. 同族会社の役員などで、その同族会社からの給与以外に貸付金の利子や資産の賃貸料を受けている人

仮想通貨への投資などによる所得金額の合計額が20万円を超えている場合は2に該当し、確定申告をする必要があります。

還付申告とは

確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。この還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

給与所得者は、次のような場合には、原則として還付申告をすることができます。

  1. 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
  2.  一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
  3.  マイホームに特定の改修工事をしたとき
  4.  認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
  5.  災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
  6.  特定支出控除の適用を受けるとき
  7. 多額の医療費を支出したとき
  8.  特定の寄附をしたとき
  9.  上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき

所得税の計算方法

確定申告では以下の流れで所得税の計算を行います。

  1. 所得を10種類に分け、それぞれの所得金額を計算します。
    (利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得)
  2. 各所得金額を合計して、課税標準を計算します。損益通算、損失の繰越控除を行います。
  3. 課税標準から所得控除を差し引いて、課税所得金額を計算します
    (基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、社会保険料控除、生命保険控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、医療費控除、雑損控除、寄附金控除)
  4. 課税所得金額に税率をかけて所得税額を計算します。
  5. 所得税額から税額控除を差し引いて申告税額を計算します。
    (住宅ローン控除、配当控除など)

 
ビットコインをはじめとする仮想通貨に関わる所得については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として雑所得に区分されます

所得税法上、他の所得と通算できる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・ 山林所得とされています。雑所得については、これらの所得に該当しませんので、 その所得の金額の計算上生じた損失がある場合であっても、他の所得と通算することはできません

仮想通貨の確定申告を怠った場合

確定申告をしなければならない人が申告期限の3月15日までに申告をしないことを無申告といいます。申告期間後でも確定申告をすることはできます。期限後申告は、税務署長から所得金額や税額の決定が行われるまでならいつでもすることができます。

ただし、期限後申告書を提出したときや税務署長からの通知を受けたときは、期限内に申告した人との差をつけるためのペナルティーとして、本来納める税額の他に無申告加算税が課されます。申告漏れをしてしまっている方は直ちにAerial Partnersへお問い合わせください。

年末調整と確定申告の違いを理解して、正しく納税をしましょう。

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