仮想通貨の急激な市場拡大により一般に普及したという意味で仮想通貨元年とも言われる2017年、仮想通貨の取引に関する税金の取扱いが国から公表され、仮想通貨取引に課税されることが明らかになりました。
法整備が追いつかない状況下で100万人を超える仮想通貨投資家が生まれている一方、その所得計算に関する論点は多岐にわたり、申告手続きは複雑かつ難解なものとなっています。
目次
仮想通貨で得た利益にかかる税金は確定申告が必要
このように仮想通貨の普及が進むなかで、仮想通貨売買で利益が出ている方も多いのではないでしょうか?利益が出ている場合は、給料以外に収入がない会社員であっても必ず確定申告を行い、利益に応じた所得税を納付する必要があります。
また購入した仮想通貨を日本円に戻していなくても、その仮想通貨で買い物をした、ほかの仮想通貨に換えた、といったケースでも所得税がかかってきます。
仮想通貨の売買で利益が出て喜んでいるのも束の間、申告漏れを税務署から指摘されて多額の延滞税を払わないといけなくなった・・・ということにならないように、この記事を読んでしっかりと申告、納付しましょう!
仮想通貨の所得の区分
所得税の計算においては事業所得や給与所得、譲渡所得といった様々な所得がありますが、仮想通貨の利用によって生じた損益は原則として雑所得に区分されます。
※仮想通貨を事業のために保有、決済手段として用いている場合は事業所得となりますが、該当者は少ないと推測されるため、この記事での説明は省略します。
仮想通貨により生じた雑所得がほかの所得と大きく違う点は次の通りです。
利益が大きいほど課される税金が大きくなる(累進課税)
仮想通貨の利用によって生じた利益は、ほかの所得と合算されて最高で45%(住民税を含めると55%)の所得税が課されます。一方、これに対して株式の譲渡による利益については、原則として一律20.315%の税率が課されることとなっています。
損失が出た場合、ほかの利益と相殺できない(損益通算禁止)
事業所得などで利益が出ていて、仮想通貨取引で損失が発生した場合、この損失はほかの所得と相殺することはできません。
生じた損失は翌年の利益と相殺できない(損失の繰越控除禁止)
たとえば上場株式の売買によって生じた損失は3年繰り越すことができ、翌年以降に発生した利益から控除することができますが、仮想通貨取引により発生した損失は繰り越すことができません。
いかがでしょうか。株式と同じような感覚で仮想通貨の取引を行われている方も多いかもしれませんが、このように所得税の扱いは全く異なるものとなっています。次回は個別の取引について詳細を見ていきたいと思います。
仮想通貨に関する確定申告の注意点(個別事例編)
仮想通貨の確定申告(税金)にお困りですか?
株式会社Aerial partners 事業部長 / 公認会計士・税理士
監査法人でデューデリジェンス、原価計算導入コンサルなどの業務を中心に従事。また、証券会社の監査チームの主査として、分別管理に関する検証業務も行う。暗号資産事業者に対する経理支援を行っており、暗号資産会計・税務の知見に明るい。